梔子の実(くちなし) ・ 南天の実(なんてん)
●梔子(くちなし)
梔子(クチナシ)は、美しい白い花びらと香りが特徴の花です。
初夏の風によって運ばれてくる甘い香りから、「喜びを運ぶ」という花言葉がつきました。
また、欧米ではダンスパーティーに誘う女性へクチナシの花を贈ることから、「とてもしあわせです」という花言葉で誘われた女性のうれしい気持ちを表現しているとされています。「洗練」「優雅」との花言葉は、白く美しい花びらの様子に由来しています。
●梔子の実(くちなしのみ)
梔子の実は、中国医学では消炎、止血、鎮静、利尿作用、不眠、精神不安などに効果があるとされ、「山梔子(さんしし)」の生薬名で処方されます。また、疲労回復効果や防腐効果が高いことから、江戸時代には東海道を行き交う旅人が好んで食べていたという歴史もあります。
着色料として用いられるのは、実から生成される濃いオレンジから黄色をした高粘度の液で、食品だけでなく、平安時代には染料としても使われてきました。今でも栗きんとんやゼリー、たくあんなどの色付けに使用されています。
●南天の実(なんてんのみ)
南天は、中国や日本が原産の常緑低木で、自然界では1~3mほどにまで生長します。漢名の「南天燭」から、日本では「ナンテン」と呼ばれています。
夏に咲いた白い花は徐々に赤色になり、冬になると真っ赤な果実を実らせます。
魔除けや火災よけの効果がある植物とされ、江戸時代には玄関先によく植えられていました。鬼門と呼ばれる南西の方角に置くのがよいとされています。他にも、難を転ずる→難転→なんてん、という意味合いから、お年寄りが転ぶときに寄りかかることができる木として、トイレの近くに植えられていたようです。
花言葉は、「幸せ」「私の愛は増すばかり」「よき家庭」。
開花期は6~7月、11~12月に実をつけます。