四季の短歌 3



四季の短歌 3


 

短歌の無断転用は、原則禁止とします。

 

 

向日葵(ひまわり) 散策路 170715撮影 
向日葵(ひまわり) 散策路 170715撮影 

■ 初夏の湿月(しょかのしつげつ) 48


なが雨の傷の痛みに雨音がシトシトひびく初夏の湿月

 

 

今年の梅雨は長雨です。

まるで傷の痛みに雨音が響くように、しっとり湿った初夏が訪れようとしています。

 

初夏の湿月(しょかのしつげつ) 2019/07/17制作  2019/0702アジサイ撮影
初夏の湿月(しょかのしつげつ) 2019/07/17制作  2019/0702アジサイ撮影

■ 七月九日の日 47


生還のいちとし過ぎし君の笑は頬和らぎて夏を待つらん

 

 

七月九日の日。妻が病気から生還して一年が過ぎました。

やっと元気になった君の頬は和らかく、夏を待って笑っています。

 

七月九日の日 2019/07/09制作  2019/07/02合歓木撮影
七月九日の日 2019/07/09制作  2019/07/02合歓木撮影

■ 平成の御代(へいせいのみよ) 46


ありふれた喧噪過ぎし九春に平成の御代静かにおわり

 

 

もうすぐ令和を迎え平成の御代が終わります。

世の喧噪をよそに、粛々と平成の時代が終わることを感じています。

 

平成の御代(へいせいのみよ) 2019/04/07制作  2019/04/05撮影横浜山手の桜
平成の御代(へいせいのみよ) 2019/04/07制作  2019/04/05撮影横浜山手の桜

■ 令和をむかえ(れいわをむかえ) 45


ふるさとの釜臥山の麓たつ墓標をおもい令和をむかえ

 

 

明日の5月1日より令和を迎えます。

昭和、平成、令和の三代を生きることを確認し、故郷のお墓に眠る家族を想いつつ、令和を迎えたいと思っています。

 

令和をむかえ(れいわをむかえ) 2019/04/30制作  ふるさとの釜臥山
令和をむかえ(れいわをむかえ) 2019/04/30制作  ふるさとの釜臥山

■ 夫婦40年(ふうふよんじゅうねん) 44


春や夫婦四十年早過ぎて令和の御代も君のピースで

 

 

夫婦40年の日を迎えています。

翌月の5月1日からは新しい元号「令和」を迎えます。

次の令和の時代も君のピースサインでともに歩みます。

 

夫婦40年(ふうふよんじゅうねん) 2019/04/01制作 横浜山手散策の桜
夫婦40年(ふうふよんじゅうねん) 2019/04/01制作 横浜山手散策の桜

■ 春待つらん(はるまつらん) 43


春待ちて梅咲く池の畔にて竦む青鷺も春待つらん

 

 

梅が咲く池の畔に、一羽の青鷺が身じろぎもせず佇んでいました。

青鷺も春を待っているのだろうか。

 

春待つらん(はるまつらん) 2019/02/06制作 親水公園池の青鷺2019/02/02撮影
春待つらん(はるまつらん) 2019/02/06制作 親水公園池の青鷺2019/02/02撮影

■ 君に乾杯(きみにかんぱい) 42  2018~


陽向路の木瓜の花さく年の瀬をそろりと歩く君に乾杯

 

 

病気退院後の養生をしていた妻が、木瓜の花が咲く年の瀬の頃に、やっと歩けるまでに回復しました。

乾杯です。

 

君に乾杯(きみにかんぱい)2018/12/26制作  散策路の寒木瓜2018/12/24撮影
君に乾杯(きみにかんぱい)2018/12/26制作  散策路の寒木瓜2018/12/24撮影

■ 朝顔(あさがお) 41


朝顔は夏季に目覚める花ならず秋を彩るただ花となり

 

 

秋に咲く朝顔は、暮れ往く秋の気配を彩る花のようです。

もしかしたら夏の花ではないかもしれない。

 

朝顔(あさがお) 2018/11/02制作 散策路の朝顔2018/10/31撮影
朝顔(あさがお) 2018/11/02制作 散策路の朝顔2018/10/31撮影

■ 送り火(おくりび) 40


送り火の妻の手をとり家に入り妻は静かに母の手をとり

 

 

父の送り火のあと、病気退院後の妻の手をとり家にいざないました。妻は静かに病床の母の手をとり、

父の送り火を報告していました。

 

送り火(おくりび) 2018/08/16制作  梔子:2018/08/16撮影
送り火(おくりび) 2018/08/16制作  梔子:2018/08/16撮影

■ ねぶた祭り(ねぶたまつり) 39


ねぶた見に来しことありし遠き日はいま亡き父母と姉弟と

 

 

ねぶた祭りの季節になると、なぜか今は亡き父母、姉弟と、ねぶたを見に行った子供の頃を思い出します。

 

ねぶた祭り(ねぶたまつり) 2018/08/12制作
ねぶた祭り(ねぶたまつり) 2018/08/12制作

■ 九日の日(ここのかのひ) 38


文月の熱き大気に風そよぎ九日の日に君生還せり

 

 

文月の九日の日、妻が病気から生還しました。

その日は暑くなりつつある風が心地よくそよぎ、安堵の一日でした。

 

九日の日(ここのかのひ)2018 2018/07/25制作 江戸風鈴俳画2018/07/24制作
九日の日(ここのかのひ)2018 2018/07/25制作 江戸風鈴俳画2018/07/24制作

■ 椿一輪(つばきいちりん) 37  ここから歌集Ⅱ


桜咲き彼岸が明ける愛猫に妻が捧げる椿一輪

 

 

桜が咲きほこり、彼岸が明ける日に、

妻の愛猫に捧げるように、椿が一輪咲いていました。

 

椿一輪(つばきいちりん) 2018/04/03制作 2018/03/17 撮影散策路
椿一輪(つばきいちりん) 2018/04/03制作 2018/03/17 撮影散策路

■ 少年の記憶(しょうねんのきおく) 36


足踏みて雪の小川の水清き今日は初登校の水芭蕉

 

少年の頃、春の初登校の日はいつも雪解けの小川に水芭蕉が咲いていました。

朝の清々しい大気と清らかな水の色が、鮮やかに記憶に残っているのはなぜだろうか?

 

少年の記憶(しょうねんのきおく) 2018/02/05制作 挿し絵:水芭蕉
少年の記憶(しょうねんのきおく) 2018/02/05制作 挿し絵:水芭蕉

■ 梅うもれても(うめうもれても) 35


睦月雪しんしんと梅うもれても今日は68祝い酒の夜や

 

梅が咲き、昨夜の雪が降り積もります。

雪が解け、また春らしい花をかざしひろげ、ひかり輝く今朝は、六十八才の誕生日です。今宵は祝い酒か。

 

梅うもれても(うめうもれても) 2018/01/25制作
梅うもれても(うめうもれても) 2018/01/25制作

■ 初冬杉本寺(しょとうすぎもとでら) 34


白幟を越えて上りし茅葺堂古き御像に暫し息を吐き

 

坂東三十三観音霊場杉本寺にて 

奉納幟が立ち並ぶ急こう配の石段を上り、途中で一息するおばあちゃんを追い抜き観音堂へ行き着くと、冬に入る古きお堂の佇まいに少し見入ってしまいます。

 

初冬杉本寺(しょとうすぎもとでら)2017/12/15制作 初冬の鎌倉杉本寺撮影
初冬杉本寺(しょとうすぎもとでら)2017/12/15制作 初冬の鎌倉杉本寺撮影

■ ねんねこの冬(ねんねこのふゆ) 33


ねんねこの背の子温もり感じつつ冷たい冬日梅の花が咲き

 

子供の頃の冬の原風景のひとつが、ねんねこに包まれる子供とお母さんの姿です。

今はもうねんねこを使う母の姿を見ることはありません。

 

ねんねこの冬(ねんねこのふゆ) 2017/11/11制作 北鎌倉東慶寺の白梅
ねんねこの冬(ねんねこのふゆ) 2017/11/11制作 北鎌倉東慶寺の白梅