四季の短歌 4



四季の短歌 4


 

短歌の無断転用は、原則禁止とします。

 

 

木瓜の実 散策路 2019/07/02撮影
木瓜の実 散策路 2019/07/02撮影

■ 明月院(めいげついん) 63


怪し咲く釣鐘草の明月院夏色まぶし北条の院

 

2016年初夏に訪れた、あじさい寺で有名な北鎌倉明月院、

山門をくぐった左にある、鎌倉時代中期の鎌倉幕府第5代執権北条時頼の「北条時頼廟」での1首です。

 

静かな北条時頼廟の前には、ひっそりと釣鐘草が咲いていました。

 

 

 

明月院(めいげついん) 2024/01/16制作 
明月院(めいげついん) 2024/01/16制作 

■ 木蓮(もくれん) 62


木蓮の散りゆき頃は遠き日の雪降る墓の父母を想ふや

 

 

木蓮の花が咲く頃は、何故か、故郷の今は亡き父母を思い出します。

 

何故だろうか? 父母も姉弟もすでに亡くなり、今は一人になりました。

 

 

 

木蓮(もくれん) 2023/12/29制作 
木蓮(もくれん) 2023/12/29制作 

■ 竹の春(たけのはる) 61


音が鳴りハッと振り向き見渡せばまた静まりてひとり竹の春

 

 

鎌倉英勝寺の深閑とした竹林の中でファインダーを覗いていたときの出来事です。

 

「竹の春」……竹の子として成長した若竹も、秋には立派な竹となり、親竹も青さを取り戻すため、「竹の春」と呼びます。また、竹を切る時期も、この頃が選ばれる。 滅多に咲かない「竹の花」も、たいがい秋に咲くので、秋の季語とされています。

 

 

竹の春(たけのはる) 2023/11/10制作
竹の春(たけのはる) 2023/11/10制作

■ 冬ざれて(ふゆざれて) 60


冬ざれる白幟見やる杉本寺石段苔に朝冬に入り

 

 

2017年12月6日の早朝の杉本寺、人ひとりいない境内の、石段、仁王門、白幟、苔石段、観音堂、鐘楼、七地蔵尊等々、

まだ鮮明に記憶しています。

これから冬に入る寒さが、忘れられません。いい時間でした。

 

冬ざれて(ふゆざれて) 2023/10/12制作 
冬ざれて(ふゆざれて) 2023/10/12制作 

■ 端午の日(たんごのひ) 59


おのこ去り端午の兜小さくも想いは遠く赤夕化粧

 

 

二人の男の子も去り、今年も、兜飾りは小さいミニュチア兜になってしまいました。

子供と過ごした端午の節句に想いを馳せていると、道端にはひっそりと赤花夕化粧が咲いていました。

 

端午の日(たんごのひ) 2023/05/05制作 
端午の日(たんごのひ) 2023/05/05制作 

■ 二頭の蜻蛉(にとうのとんぼ) 58


静かなる沢蝉しぐれ夏の日の二頭の蜻蛉秋をむかえし

 

 

蝉しぐれの夏の日、静かな緑道の沢で二頭の蜻蛉が止まっていました。

まるでこれから秋を迎えるような。

 

二頭の蜻蛉(にとうのとんぼ) 2022/08/20制作
二頭の蜻蛉(にとうのとんぼ) 2022/08/20制作

■ 初夏の風香を(しょかのかぜかを) 57


皮剥ぎて空に伸び往く若竹を眺めて初夏の風香を感じ

 

 

親水緑道の若竹が、皮を剥ぎとりながら伸びて往きます。

そんな若竹を眺めていると、初夏の風香をすごく感じてしまいます。

 

初夏の風香を(しょかのかぜかを) 2022/06/08制作
初夏の風香を(しょかのかぜかを) 2022/06/08制作

■ 原風景・五月雨(げんふうけいさつきあめ) 56


追憶の五月雨降り息をとめ静寂の糸ただ見つめをり

 

 

小学生の追憶の原風景を絵にしました。

追憶の中の私は、五月雨が降り続く様子を、息を止めて見つめていました。

ただただ静寂の糸を追うように。

 

原風景・五月雨(さつきあめ) 2022/03/13制作
原風景・五月雨(さつきあめ) 2022/03/13制作

■ 凍てつきぬ(いてつきぬ) 55


凍てつきぬ畔の小鷺に息をとめ痺れる指は初撮りの朝

 

 

正月2日の初撮り。

凍てついている池の湖畔に小鷺が佇んでいます。

カメラのシャッターを押す指はすでに寒さで痺れてきました。

 

凍てつきぬ(いてつきぬ) 2022/01/02制作
凍てつきぬ(いてつきぬ) 2022/01/02制作

■ 羽黒蜻蛉(はぐろとんぼ) 54


蜻蛉きて羽根をひろげし梅雨の間にくる夏の日はまだコロナ禍や

 

 

緑道の沢で、梅雨の合間に蜻蛉が羽根をひろげて止まっています。

これから訪れる夏は、まだまだコロナ禍かな。

 

羽黒蜻蛉(はぐろとんぼ) 2021/07/10制作
羽黒蜻蛉(はぐろとんぼ) 2021/07/10制作

■ 夏椿(なつつばき) 53


夏椿君恋ゆるほど懐かしく初夏の香りを梅葉に隠し

 

 

夏椿をみると、懐かしき日々を感じてしまいます。

初夏の香りが梅の葉に隠れて匂ってくるような。

 

夏椿(なつつばき) 2021/06/09制作
夏椿(なつつばき) 2021/06/09制作

■ 初春の朝(はつはるのあさ) 52


コロナ禍の君と過ごせし故郷の吾子も帰らぬ初春の朝

 

 

まだまだ続くコロナ禍で、我が子も帰れない初春の日々。

そんなコロナ禍の朝を、君と二人だけで過ごしています。

 

初春の朝(はつはるのあさ) 2021/01/02制作
初春の朝(はつはるのあさ) 2021/01/02制作

■ コロナ禍の長梅雨(ころなかのながつゆ) 51


コロナ禍の蝉声弱くウズウズと晴れぬ合間の長梅雨の風

 

 

コロナ禍が続く長梅雨の日、蝉声も弱くまだ夏はこれからです。

時々梅雨の合間に吹き抜ける風に、夏の近さを感じています。

 

コロナ禍の午後(ころなかのごご) 2020/07/21制作
コロナ禍の午後(ころなかのごご) 2020/07/21制作

■ 浦安の舞(うらやすのまい) 50


花嫁と吾子の幸せ祈りつつ見やる神楽は浦安の舞

 

 

我が子の結婚式です。

花嫁と我が子の幸せを祈りながら見つめていると、式はもう最後の儀に入り、

神子さんが、神楽の「浦安の舞」を踊っていました。厳粛な結婚式でした。

 

浦安の舞(うらやすのまい) 2019/11/20制作 静岡縣護国神社
浦安の舞(うらやすのまい) 2019/11/20制作 静岡縣護国神社

■ 倦怠の朝(けんたいのあさ) 49


なにげない倦怠の朝はそら色にウロコ雲みて我息を吸い

 

 

倦怠が続く朝は、空のうろこ雲をみて深呼吸をして気持ちを高揚させます。

何気ない朝の呼吸法。

 

倦怠の朝(けんたいのあさ) 2019/10/14制作  散策路の朝
倦怠の朝(けんたいのあさ) 2019/10/14制作  散策路の朝